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ヒドラの行動と細胞の観察

by seibutsu last modified 2008-02-19 16:48
1 ねらい

   教科書によく登場するヒドラ(刺胞動物)は、比較的きれいな水質の池や沼に生息している。ミジンコなどをエサにして簡単に水槽で増やすことができる。出芽の様子が観察できるだけでなく、触手で獲物を捕え、刺細胞の毒で麻痺させ、口から腔腸の中へ押し込む摂食行動も容易に観察することができる。
  また、簡単な処理をするだけで、6種類の分化した体細胞が観察でき、強い再生能力を生かした実験材料にもなる。(現在、腔腸動物は刺胞動物と有櫛動物とに分けて分類されている)

ヒドラ01

2 準備するもの

・ヒドラ (池の水草を水槽に取り出してから表面に付着している個体を採取)
      (センターで飼育中の個体がいれば、譲り受ける) 
・ミジンコ(市販のアルテミアの卵を人工海水でふ化させてもよい) 
・メチレンブルー ・酢酸 ・グリセリン
・顕微鏡 ・シャーレ

3 飼育方法

<飼育方法と管理>
①観察しやすいよう、透明な小さい水槽で飼育するとよい。酸素を供給するのに、オオカナダモなどの水草を少量入れておくと良い。凹凸の少ないペットボトルを上1/3程度で切り取って水槽にしてもよい。ヒドラが餌をキャッチできなかった場合、ピペットで再びアルテミアを捕獲し、何度でも餌やりやりができるような大きさの水槽が、餌の無駄がなくてよい。
②夏季に水温が上がりすぎると一晩で絶滅することもあるので注意が必要。冬季は恒温器や暖かい部屋で飼育するとよい。
③水が濁ってきたら水替えを行う。

飼育6 飼育1 飼育2 

<餌>
ミジンコ(カイミジンコは不適)がいればそれを餌に利用する。冬季はペット屋等で市販されている人工海水、ブラウンシュリンプエッグ(アルテミアの卵 熱帯魚用の餌)を購入し、ふ化したアルテミアを餌として利用する。

<餌やり>
①人工海水を作る(1リットル作り冷蔵庫で保管し必要な分だけ取り出して使う)
②大量の餌が必要であれば、1リットルのビーカーに人工海水500ミリリットル入れブラウンシュリンプエッグを0.8g入れ、一晩エアレーションしておく。冬季100ワットの電球を照らし加温しておく。20~30時間でふ化する。

飼育7 飼育4
 人工海水の素とブラインシュリンプエッグス  電球で加温すると1日でふ化する
③少量の餌であれば、100ミリリットル程度の蓋付きの瓶に50ミリリットル程度人工海水とブラウンシュリンプエッグを耳かきに2はい程度入れ、時折シェイクする。夜、放置する場合、蓋は開けておく。          
④ピペットでアルテミアを海水ごと吸い取り、ろ過する。くみ置きの水でもう一度ろ過し、ピペットでヒドラに与える。

4 形態の観察

ヒドラの口の周囲には、6~8本程度の長い触手が生えている。体長は1cmほどだが、触手を含めかなり伸縮する。栄養状態が良いと足盤に近い所から、幼体が出芽する。体の側面に卵巣と精巣を生じ、有性生殖も行う。

出芽 構造図

ボタン ヒドラを顕微鏡観察した動画を見る

5 捕食行動の観察  

エサを与え捕食行動を観察する。
  ヒドラの捕食行動は、一連の反射から成り立っている。
 ①触手に触れた餌に反応し、触手の刺細胞から刺胞が発射される。
  (この刺胞からの毒により、アルテミアやミジンコなどは動かなくなる)
  ②触手の動きによって餌が口付近まで運ばれる。
 ③エサの化学物質により、口が開けられる。アルテミア抽出液を与えると、ヒドラ 
  は口を開き、餌を飲み込む時と同じような行動を示す。
 ④触手の動きと口の動きによって、エサが胃の中へ押し込められていく。

ボタン2 ヒドラの捕食行動を見る

捕食行動 食後


かみそりの刃でヒドラの触手を根元から切断し、その「単離触手」にアルテミアやミジンコなどのエサを与え、捕食する様子を観察することもできる。「単離触手」はエサを刺胞で攻撃する。捕食行動は反射から成り立っており、基本的には他の体の部分がなくても進行する。

切断

   ヒドラの体の一部を切断する場合、ツバキなどの厚手の葉の上にヒドラをのせ、カミソリで切断する。再生の実験でもこの方法を使う。


ヒドラの刺胞には、発射されると エサに突き刺さり、毒を注入する タイプ(貫通刺胞)、エサに付着するタイプ (粘着刺胞)、およびエサに巻き付くタイプ(捲着刺胞)がある。最も大きな貫通刺胞でも、せいぜい10~20μmの大きさしかない。

刺細胞図 刺細胞2

塩酸

ヒドラをスライドガラスの乗せ、カバーガラスをかける。
体の構造を観察した後、
1M塩酸を滴下し、刺胞が発射される様子を観察する。

ボタン3 触手の刺細胞から刺胞が発射される様子を見る

6 簡易解離法による細胞の観察

 酢酸グリセリン溶液を用いてヒドラを細胞単位に細胞の形態を保ったまま解離
し、顕微鏡で細胞の形態を観察する。
①ヒドラをスライドガラスの上にのせる。
②余分な水分をろ紙で吸い取る。
③解離溶液(酢酸グリセリン溶液)を一滴落とす。
 (解離溶液は、グリセリン:酢酸:蒸留水=1:1:13)
④5分間静置する。
⑤個体が大きい場合には、カミソリで細断する。
⑥0.05%メチレンブルー液を1滴落とし、カバーガラスをかけ検鏡する。
    メチレンブルーはリン酸バッファー緩衝液で調合した液を用いる。
 (緩衝液:Na2HPO4 0.1M 30.9ml  NaH2PO4 0.1M 19.2ml)

⑦カミソリにカバーガラスの端がかかるようにカバーガラスをかけ、消しゴム付鉛筆のゴムでカバーガラスを軽くトントンとたたくと、細胞を重ならないように散らすことができる。

プレパラート 

表皮筋細胞 間細胞
         表皮細胞            間細胞
神経細胞 刺胞細胞
         神経細胞             刺胞細胞
消化細胞 腺細胞
         消化細胞          腺細胞

ヒドラは10万個程度の細胞から成り立っていると言われているが、このような簡単な方法により細胞を観察することができる。

細胞の特徴 

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